スイスのプライベート・バンカーと会うには
-- スイス銀行口座開設の手続き --
資産を守る執事
「プライベート・バンカーとは、顧客の資産を守る”執事”である」
あるプライベート・バンカーの言葉です。
貴族の邸宅における”執事”の役割は、一見控えめですが、実は中枢的なものです。執事とは、単なる”召使”ではなく、家事全般を取り仕切る秘書兼マネジャーであり、また貴族の家臣として相応の教養とプライドをもって任務を果たして来ました。
王侯貴族に仕えた歴史
プライベート・バンカーとて同じことです。
初期のプライベート・バンクの顧客は、多くは王族や貴族でした。とりわけ、革命で祖国を追われたフランスの亡命貴族は、スイスのプライベート・バンクの重要な顧客となりました。
革命と戦乱に明け暮れたヨーロッパ近代史を通じて、プライベート・バンカーたちは顧客の忠実な僕であり、と同時にその資産を守る強力な尖兵であって、その専門知識で富裕層の資産保全に奉仕して来ました。番号口座(秘密口座)、オフショア法人の設立、財団・信託の設立というプライベート・バンク独特の資産管理手法は、この伝統を通じて、とりわけスイスのプライベート・バンカーの間で発達したものです。
プライベート・バンカーに会う
これらスイスのプライベート・バンクが最近日本にも進出しています。200年に及ぶ伝統に培われた資産保全のプロであるスイスのプライベート・バンカーに、日本でも会えるようになったわけです。
けれども、どこで、どうすればスイスのプライベート・バンカーとアポイントが取れるのでしょうか?
富裕層を顧客として
一般に、スイスのプライベート・バンクでは商業銀行のような宣伝は行ないません。それどころか、自らの存在すら一般公衆の目から出来るだけ遠ざけようとします。プライベート・バンクの顧客はごく少数の富裕層であり、銀行の存在が一般に知られることは、銀行にとっても、その顧客にとっても有害無益だからです。
スイスでプライベート・バンカーに会う
それでも優秀な銀行であれば社交界などで自ずと話題に上り、知られることになります。
実際、スイスでは、プライベート・バンクの新規顧客は、サロンなどの社交の場で既存の顧客から紹介される場合が多く、そのため、日本人が口座を開くためにはスイスまで出かける必要がある場合もあります。現に、最近でも、スイスのプライベート・バンクを訪ねるツアーを企画する旅行代理店があるようです。
「一見客」が口座開設できるか?
しかし、プライベート・バンクは顧客を選びますから、いわゆる「一見の客」では、どんなに潤沢な資金があろうと受け入れてはもらえません。ですから、わざわざスイスまで出かけて行ったのに、結局口座が開けなかったという方もいらっしゃることでしょう。
では、スイスのプライベート・バンクに口座開設することは、友人・知人がすでに顧客となっている場合を除けば、全く不可能なのでしょうか。
エージェントを使う
そんなことはありません。
プライベート・バンクのエージェントを通せば、銀行やプライベート・バンカーとコンタクトを取り、直接に面談することも可能となるのです。
エージェントの仕事
プライベート・バンクのエージェントはセールスマンではありません(1998年の外為法改正当時は、大手銀行がセールスマンを動員して「プライベート・バンキング」の売り込みにかかりましたが、そのような「売り込み攻勢」は本来のプライベート・バンキングとは相容れないものです)。その重要な役割は、「売り込み」ではなく「顧客の選別」にあります。
「選別」といっても大げさなものではなく、プライベート・バンクに関心を示した人の資金が何らかの犯罪やマネーロンダリングにかかわっていないか、それとなく探りを入れる程度のことです。しかし、これだけでもプライベート・バンクが「一見の客」を受け入れるリスクは相当に軽減されますから、信頼できるエージェントの紹介があれば、プライベート・バンカーとアポイントを取ることは容易です。
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