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コンサルティング翻訳のすすめ

最も廉価な異文化コミュニケーション・

コンサルタントとしての翻訳者

 

Secretary」は「秘書」か

 ある小さな会社から依頼を受け、海外企業と契約するための契約書の翻訳をしていたときのことです。

契約書には通常、最後に署名欄があり、当事者である企業の社名、責任ある担当者名とその役職が記載されています。その契約書も同様でした。

 ところが、そこに記載されている海外企業の担当者の「役職」が問題になりました。

 というのは、役職名が「Secretary」になっていたからです。「『秘書』がサインした契約書では困る」と言われてしまったのです。

 この点について、依頼者から翻訳者である当方に相談がありました。そこで、「この場合のSecretaryとは、日本で普通に考えられている『秘書』ではなく、『秘書役』とでも訳すべきれっきとした役員であり、日本で言えば総務担当役員のようなもの」と説明し、ことなきを得ました。

 これは簡単な例ですが、このように、翻訳の仕事が「相談」につながって、問題解決に至ることはしばしばあります。

 

 

「小さな誤解」が、「大きなトラブル」に

 海外とビジネスをしていると、トラブルに見舞われることも多いものです。相手方に悪意があることもまれにありますが、多くの場合は単なる誤解や行き違いによるものです。例えば、この「Secretary」のように、同じ言葉であっても当事者同士でイメージしているものが全然違うことがあるからです。(逆に、相手が「日本語のできる外国人」である場合も要注意です。)

ところが、最初は小さな誤解から始まったものが、場合によっては大きなトラブルに発展することもあります。

 そのようなトラブルはできるだけ未然に防ぎたいもの。では、どうすればいいのでしょうか。

 

「相談できる翻訳者」をもつ

 語学力のあるスタッフを社内にそろえるというのも一つの手です。けれども、中小・零細企業の場合は費用がかさみすぎるかも知れません。

 それに、これは単に語学力のみならず、発想や論理の組み立て方までからんでくる問題です。日本的な発想で書かれた英文は、語学的な誤りがなくても、はっきり言うべき内容をぼかし、そのくせ遠慮がちになるべきところでズケズケ言ったりするので、かえって誤解を増幅することもあります。

 そこでおすすめしたいのが、社外の翻訳者との密接な連携と相談です。これが、海外とのコミュニケーションをとる際のトラブルを未然に防ぐ、あるいは解決する最も安上がりな方法ではないでしょうか。

 では、そのような「相談のできる翻訳者」は、どこにいるのでしょうか。

 

「翻訳会社」の限界

残念ながら、ふつうの翻訳会社にはいません。それどころか、ふつうの翻訳会社には、ただの翻訳者さえいなくて、いるのは営業担当者だけです。

つまり、ふつう「翻訳会社」と呼ばれているところは、自分で翻訳はせず、依頼された翻訳を外注するだけなのです。ですから、依頼人は翻訳者と直接には接触できません。一方、依頼人と連絡できない翻訳者は、事情が呑み込めていないわけですから、依頼された文書を一字一句忠実に翻訳するしかなく、また、多くの場合、そうしなければ「翻訳会社」からクレームを付けられることになります。

ですから、ふつうの翻訳会社を介した場合、翻訳者が依頼人の意図をくんだ上でより適切な表現に改めるといったことは不可能なのです。

 

 

「コンサルティング翻訳」とは何か

これは、しばしば本末転倒の結果をもたらします。

なぜなら、依頼者が翻訳を頼んだのは、忠実な翻訳を手にすることが目的なのではなくて、翻訳によって「海外の取引先とのスムーズなコミュニケーション」や「値引き交渉」「トラブルの解決」を図りたいからかも知れないからです。

だとすれば、単に言葉をタテからヨコにすることよりも、もっと大事なことがあるはずです。

それは、依頼人と翻訳者が密接に連絡して相互の信頼関係を築くこと、翻訳者が依頼人の意図を正確に把握し、提案できることです。依頼者の本来の目的を達するためには、言い回しを変えたり、枝葉的な部分を削って焦点を明確にするなど加筆・訂正したり、場合によっては文章構成まで変えたほうがいいことがあるからです。

このように、依頼人の本来の目的を実現するため、依頼人と翻訳者が相談しながら訳文を作成していくことを「コンサルティング翻訳」と呼んでいます。

 

料金は通常の翻訳並み

「コンサルティング翻訳」においては、翻訳者は、単に機械的に翻訳するのではなく、これまでに訳してきたあらゆるビジネス文書、契約書、裁判記録などから得た広範な「国際ビジネスの常識」を総動員して、ベストな文書を作成するように尽力します。

 中小・零細企業といえども、国内の取引先や顧客だけを相手にしている時代はすでに過去のものとなりつつあります。閉塞状況を打ち破るためには、海外に雄飛しなければなりません。翻訳会社(仲介業者)を通さず、翻訳者と直接相談できる「コンサルティング翻訳」は、通常の翻訳と大差のない安価なサービスでありながら、御社の海外進出にとって心強い味方になるはずです。

 

 

 M&Zビジネス翻訳センターでは、「コンサルティング翻訳」のご提案をしています。詳しくはお問い合わせ下さい。

(mz.group@e-law-international.com)

 

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