実録ルポ--「2万円で株式会社を設立」
**「2万円で株式会社を設立」したA氏の体験とインタビュー
by M&Z



 「2万円で株式会社を設立した」A氏(39歳、小金井市在住)の経験をルポしました。
 「会社設立したい!!」、でも「株式会社設立や有限会社設立は資金的に無理」と最初からあきらめている人、また「合資会社の設立では法人化のメリットが少ない」と考えている人、ぜひ参考にしてみて下さい。

 A氏が、会社設立を思い立ったのは、2年ほど前のことである。
 「会社設立して起業したい」という希望は以前からあった。以来、徹底した低コスト、ノー・リスクを条件に、事業の構想を練り、ようやく具体的なイメージをつかみ始めた時期だった。
 開業資金は15万円。その資金で中古のパソコンとプリンターを買い、合資会社を設立して自宅で開業する、というのが当初の計画だった。
 実は、A氏は、今でいう「フリーター」のはしりで、この歳まで定職についたことはない。一時はかなり稼いだ時期もあったものの、今は15万円が精一杯の開業資金だったのである。

 合資会社設立に必要な6万円の登録免許税さえ惜しい。そんなとき、新聞で、こんな記事が目に入った。
 「日本にいながらアメリカで株式会社を設立」
 「資本金不要。日本で登記・営業も可能」
 つまり、「日本で営業する」ことを目的としてアメリカで株式会社を設立する、という「裏ワザ」である。

 大いに心惹かれたが、そこには、「アメリカでの株式会社設立費用は40万円」と書かれていた。
 「アメリカ・ブランドに弱い日本人相手に商売するなら、アメリカで設立した株式会社は結構イケそうだ。無限責任で、どことなく貧乏臭い合資会社よりはずっといい。でも、設立費用40万円は高いな・・・」
 だが、そのときA氏はふとひらめいた。
 「40万円の会社設立費用は代行会社を通した価格だ。アメリカでの会社設立手続きを自分でやれば、もっとずっと安く会社設立できるに違いない」
 しかし、A氏は英語が苦手だった。



 そこで、塾で英語講師をしている知人のB氏に相談してみることにした。
 だが、B氏は、「会社設立」や「定款」という英語すら知らなかったのである。
 頼み込んでアメリカ大使館に問い合わせてもらったものの、返事は来ない。2ヶ月ほどたってやっと来た返事は、「会社設立は州の管轄だから答えられない」というものだった。

 それから気の遠くなるような作業が半年以上も続いた。米国内の様々な官庁などの住所を調べてB氏に手紙を書いてもらい、来た返事を日本語に翻訳してもらった。
 ある州からは、いろいろな書式が入ったパッケージが送られて来たが、何をどう書いてどこに出したらいいのか、英語講師のB氏にもよく分からなかった。
 また、英文のパンフレットには、どんな辞書を引いても意味不明の単語がいくつかあった。

 だが、こんなことを幾度となく繰り返すうちに、おぼろげながら分かってきたことがある。それは、「アメリカでの会社設立は、とてつもなく安い」ということである。
 「結局のところいくらかかるのかはよく分からなかったのですが、数百ドルもかからないだろうとは想像できました。会社設立費用は40万円なんて、とんでもない話です」とA氏。

 作業開始から半年以上が過ぎた。「会社設立まであと一歩」という感じた。
 「でも、まだよく分からない点があって、その一歩がなかなか踏み出せないんです。州などに問い合わせても、いつも同じパンフレットを送ってくるだけで、さっぱり埒があかないですし」
 そんな悩みを抱えていた頃、A氏は5万円で中古パソコンを購入。ようやくインターネットにつながった。
 早速、「アメリカでの会社設立」について検索してみた。

 ところが、目立つのは高額の設立手数料をとる代行会社のサイトばかり。A氏が探しているような情報はなかなかみつからなかった。
 検索開始から数時間後、やっと「米国法人設立ガイド」のサイトを見つけた。
 このサイトによれば、『英語がわからなくてもできる米国法人設立実践ガイド』という本があるらしい。

 早速注文して読み始めた。
 「読んでみて驚きました。私とB氏が半年以上努力しても分からなかったことが、全部明確に説明されていたからです」
 最初からこれを読んでいれば、英語でB氏に迷惑をかけなくても、数日から数週間で株式会社設立ができたはずだと思い知った。

 その後はとんとん拍子に事が運び、本を読み終えてからわずか3日後に、A氏は株式会社の社長兼オーナーとなっていた。設立にかかった費用は150ドルほど。日本円にして2万円足らずだった。
 「おかげで開業費用もずいぶん節約できました。合資会社よりも安く株式会社設立ができるなんて、さすがはアメリカン・ドリームの国だな、と思いましたね」

 A氏は、その後1ヶ月弱で開業資金を回収。現在では、毎月コンスタントに15万円の利益をあげている。事業以外にもアルバイトで収入を得ており、生活はかなり楽になった。
 「外国法人というイメージは結構役に立っていますし、『自分は社長だ』という自覚と自信を得たことも大きいと思います。実は、日本での支店登記はまだなんですが、もう少し軌道に乗ったら支店登記して、日本でも法人格を取得する予定です」
 そんなA氏に「成功の秘訣」をお伺いした。

 「『成功の秘訣』なんてとんでもない。うちなんてまだこれからなんですから。ただ、私の場合、徹底した無借金とコスト削減で、開業1ヶ月でプラスに転じたことは大きいと思います。アメリカでの会社設立もコスト削減の一環です。会社設立にかかるようなコストは、元来、少なければ少ないほどいいものですから」

 ――「低コストなアメリカでの会社設立が成功の鍵」ということですが、他の人にも勧められますか?
 「はい。特に、以前の私のようにアルバイトなどで生活の不安定な方にお勧めしたいと思っています。1日は24時間しかありませんから、時給で働いていては、収入にも限界があります。けれども、事業の可能性は無限です。うちは完全無借金なので事業規模はまだ小さいですが、これからも倍倍に伸びていきますよ」

 ――サラリーマンや学生起業家の方については、いかがですか?
 「今までは社員の副業を禁じていた会社が多かったのですが、時代の変化で副業を容認する会社も増えていると聞きました。低コストなアメリカでの会社設立だからこそ、『副業のための会社設立』や『学生による会社設立』が可能になるのではないでしょうか」
 A氏はさらに続けた。

 「先ほども申し上げましたように、事業には無限の可能性があります。『事業にリスクはつきもの』とはいいますが、昨今のご時世では、会社にまるごと人生を預けること自体、一つの大きなリスクになつています。2万円で会社を設立して副業をするのは、むしろ人生のリスクを分散させ『安全な人生』を送る知恵だといえるでしょう」
 そして、最後にこう付け加えた。
 「英語講師のB氏も、2万円で株式会社を設立するそうですよ」。

**「2万円で株式会社を設立する」方法の詳細は、ここにあります。

**パソコンでご覧の方は、ここに更に詳しい情報があります。

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**最終更新日: 2002.1.29

M&Zビジネス翻訳センター(代表 牧野 光伸)
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