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オフショアの法律制度とは? ガーンジー島の例

これらのオフショア地域は、当然のことながら、投資や資産管理に好都合な法律制度が整備されています。

一口にオフショアやタックス・ヘイブンといっても、それぞれの国や地域で制度が微妙に異なりますので、厳密にはそれぞれの法律を参照しなければなりませんが、ここでは、ガーンジー島を例にオフショア地域の法制度について簡単に説明しましょう。

ガーンジー島の政府は、立法機関である議会の他、イギリス国王(女王)により任命された法務長官その他の行政官からなっています。議会の議長も国王により任命されます。

政府は政党が運営するものではなく、これにより安定した体制が保たれています。

 

金融サービス参事会

いうまでもなく、金融・投資は、ガーンジー島にとって最も重要な産業ですから、議会には金融諮問委員会が設けられ、島内における金融サービス活動を政府レベルで監督しています。その一方で、政府、銀行業、保険業、投資業の代表からなる独立機関である金融サービス参事会が、日常的なレベルで監督業務を行っています。

このような体制の下で、ガーンジー島では、金融、投資活動に有利な法律制度を発達させて来ました。

 

簡素な税制

まず、税制度ですが、ガーンジー島の税制は極めて簡素で、キャピタル・ゲイン課税、相続税、財産税、付加価値税が存在しません。銀行預金の利子に源泉課税されることもありません。

所得税は、法人、個人にかかわりなく、一律20%です。

この「20%」という数字は、「タックス・ヘイブン」にしては意外と高いと思われるかも知れませんが、これにはからくりがあります。

 

会社は税制上3つに分類される

ガーンジー島の会社は、税制面から3つのカテゴリーに分類されます。

1つは居住者会社(resident company)で、ガーンジー島の居住者が事業を行うために設立する通常の会社です。これには、所得に対して20%の税が課せられます。

ガーンジー島で設立された会社は、特別な手続きを経ない限りは、すべてこの居住者会社であるとみなされます。

 

免税会社

もう1つは免税会社(exempt company)で、一定の条件を満たす会社が一定の手続きを経ることにより、法人所得税の免除資格を得たものをいいます。

その条件とは、会社がガーンジー島内で商取引を行わないこと、および、会社の実質的な所有者がガーンジー島の居住者でないこと、または他の免税会社もしくは免税の集合的投資計画(投資ファンドのようなもの)により所有されていること、などです。また、免税資格を得るためには、毎年一定の手数料を支払わなければなりません(ガーンジー島においては、 2000年現在600ポンドとなっています)。

 

国際会社

最後のカテゴリーは、国際会社(international company)といわれるもので、一定の条件を満たした会社が、その設立に先立って所得税官に申請して協議した上、0%−30%の税率の適用を認められるものです。国際会社の資格を得るためには、会社の実質的所有者がガーンジー島の居住者であってはならない等の条件があります。

このような税制度の下で、集合的投資ファンド、ユニット信託、投資会社、制限パートナーシップ等の多くが免税資格を享受しています。本体が免税であれば、当然、投資の利回りも大きくなります。

 

税制以外でも有利

税制以外にも、投資に有利な制度が整えられています。

会社や制限パートナーシップなどは、通常は商取引を行って利益を得る団体と考えられていますが、ガーンジー島では、多くの場合、投資資産の運用管理などを目的として設立されています。

そこで、ガーンジー島の会社法、制限パートナーシップ法では、オフショアならではの投資資産の運用管理に有利な規定が設けられているのです。

 

保護セル会社

その一つが保護セル会社条例の規定です。

この条例の適用を受ける会社の資産は、「セル」と呼ばれる小さな単位に分けられて保護されます。会社自体は1つの法人格を保っていますが、資産をセルに分けることによって、ある1つのセルに生じた負債が他の保護されるセルに影響を与えないようにすることができます。

この制度を用いてリスクを分散する手法は、ファンド・マネジャーによって広く用いられている極めて有用なものです。

詳しくは「ガーンジー島保護セル会社条例」を参照して下さい。

 

ガーンジー島における会社設立

それでは、このような有利な制度をもつガーンジー島に会社を設立するにはどうすればいいのでしょうか。

詳細は「ガーンジー島会社法」を参照していただきたいのですが、ここではいくつかの注意すべき点を述べてみます。

まず、ガーンジー島では、島外の者が自分で会社設立の手続きを行うことはできません。必ずガーンジー島の居住者である弁護士を通じて行わなければならないことになっています。

また、会社設立の手続きに際しては、自国の弁護士、公認会計士、銀行などの照会先を求められます。さらに、免税会社、国際会社の場合は、会社の実質的所有者についての情報を金融サービス参事会に提供する必要があります(ただし、参事会の得た情報は秘密とされ、公開されたり、税務当局に開示されたりすることはありません)。

このため、手続きはやや面倒ですが、最近問題になっているマネー・ロンダリングを防止するためには必要な措置であるといえましょう。

 

会社設立の費用は比較的安価

しかし、最低資本金は必要ないので、政府に支払う手数料と現地弁護士または設立代行会社の費用だけで会社を設立することができます。これにかかる費用は1000英ポンドから数千ポンドです。また、会社を維持するためには現地の代理人や役員、株式の名義人などが必要となるので、その費用が毎年かかります。これにも1000ポンド前後の費用がかかりますが、総じて日本で会社を設立するよりも安いと言えるでしょう。

 

マン島の有限責任会社

ところで、ガーンジー島ではないのですが、マン島には、一般会社とは別に有限責任会社(Limited Liability Company, LLC)という特別な種類の会社があります。これは日本の有限会社と名前は似ていますが、全く異なるものなので注意が必要です。

有限責任会社とは、単一の法人格がありながら、課税の際にはパートナーシップ(匿名組合のようなもの)として扱われるものをいいます。すなわち、課税の際に会社利益の持分に応じて株主にのみ課税されるのであって、会社自体は納税主体とはみなされません。

 

有限責任会社も免税される

このような有限責任会社は、アメリカでもデラウェア州をはじめとして各州で制度化されています(詳しくは『アメリカ有限責任会社設立マニュアル』を参照願います)。外国では、日本と異なり、法人の方が個人に比べて税制面で有利とは限らないので、有限責任会社は、最近注目される会社形態となりました。

しかも、マン島では、有限責任会社に対しても、一般会社と同様に、国際有限責任会社、免税有限責任会社の資格を得ることが認められています。

 

投資ファンドに関する法律制度

次に、ガーンジー島においてファンドがどのような法律の規制を受けるかについて簡単に説明します。

ガーンジー島において、集合的投資ファンドは、オープン・エンド型ファンドとクローズド・エンド型ファンドの2つのタイプに分けて規制されています。

オープン・エンド型ファンドとは、固定額の資本がなく、投資家が一定の期間経過後に、その保有する持分を償還する権利が認められるタイプのものです。

また、クローズド・エンド型ファンドとは、資本価額が固定されており、投資家はその持分/ユニットを償還する権利を無条件には認められません。

1988年にガーンジー島がイギリス金融サービス法第87条の指定地域となって以来、ガーンジー島のオープン・エンド型ファンドの一部の販売が日本でも可能となったはずです。しかし、ガーンジー島のファンドが日本で実際に発売されているとは、寡聞にして聞いたことがありません。)

いずれのタイプのファンドも、ユニット信託、会社、または制限パートナーシップの形態をとることができます。

 

ユニット信託

ユニット信託とは、受託者の信託行為により設定されるもので、投資家の利権はユニットにより表示されます。この信託のユニットは、オープン・エンド型の場合はファンドの純資産価額にもとづく価格で購入し、償還することができ、クローズド・エンド型の場合は、株式市場等で売却することによって回収します。

 

投資会社

このユニット信託に法人格を与えたものが投資会社で、オープン・エンド型の投資会社では投資家の利権は償還可能な株式によって表示され、他方、投資信託会社またはクローズド・エンド型と呼ばれる投資会社では、投資家は株式の償還をする権利はありませんが、信託の場合と同様に株式市場等で売却することが可能です。

 

制限パートナーシップ

制限パートナーシップとは、法人格のない組合のような団体であって、無限責任を負う一般パートナーと有限責任の制限パートナーから構成されています。投資ファンドの運用形態として、近年注目を集めています。

 

信託法、会社法、制限パートナーシップ法、投資家保護法

ガーンジー島では、信託法、会社法、制限パートナーシップ法などの他に、次のような法律でこれらのファンドの規制を行っています。

オープン・エンド型ファンド、許可を受ける集合的投資計画の全般については、「投資家保護法」およびそれに基づく規則、条規の規制が及びます。

また、クローズド・エンド型の集合的投資計画については、貸借統制条例が規制しています。

 

投資家保護法の内容

ガーンジー島の「投資家保護法」およびそれに基づく規則,条規は、投資業の免許等について規定しています。

例えば、投資業の免許を受ける者は、オープン・エンド型集合的投資計画の指定受託者/保管人の場合は、最低400万ポンドの総資本を維持しなければならない等の規制があります。

 

銀行業監督法

この他、銀行業もオフショア市場の重要な産業です。

皆さんの中には、実際にオフショアの銀行から資料を請求したり、口座を開設したりされた経験がある方も多いのではないでしょうか。

ガーンジー島、ジャージー島、マン島、香港には、当然ながら独自の銀行法がありますが、ガーンジー島の銀行法は「銀行業監督法」と呼ばれています。

ところで、ガーンジー島には、アドミニスタード・バンク(administered bank)というユニークな形態の銀行があります。

これは、ガーンジー島で銀行免許を取得し通常の営業をする銀行ですが、固有のスタッフはほとんどおらず、日常の業務は他の銀行が代行するというものです。狭い地域に大量の資金が集中するオフショアらしい銀行形態といえるでしょう。このアドミニスタード・バンクも銀行業監督法に基づいて設立された銀行です。

 

オフショア地域の法律事情はそれぞれ異なる

以上が、当社の翻訳紹介する法令を中心としたガーンジー島の法律制度の素描です。あまり厳密なものではありませんが、オフショアとはどんなところか、ある程度はイメージがつかめたのではないかと思います(実際に投資の検討をする際には、各地域の税制、法律制度を細かく調べてみる必要があることは言うまでもありません)。

もちろん、オフショア地域の事情はそれぞれ異なります。オフショアどうしの競争もありますので、法律制度にも独自色を打ち出そうという傾向がしばしばみられます。

さきほど紹介したガーンジー島の「保護セル会社条例」、マン島の「有限責任会社法」もその現われといえましょう。

 

ジャージー島のマネー・ロンダリング対策法

例えば、ジャージー島では、先進諸国のどの法律よりも厳しい「犯罪収益およびマネー・ロンダリング法」を制定して、「オフショア地域は犯罪組織のマネー・ロンダリングの温床である」というOECD諸国の批判をかわそうとしています。

 

会社設立代行業等の規制――金融サービス法

また、チャネル諸島、マン島などの地域では、会社設立代行業などのいわゆる信任サービス業についての法律上の規制は従来ありませんでしたが、最近になって規制の動きが出てきました。ジャージー島では、従来の「投資業法」を改正して「金融サービス法」とすることで、この動きに先鞭を付けました。

 

香港の法令

香港の法律については、ここでは詳しく述べませんが、当ホームページでは、ファンドへの投資というだけではなく、実業の香港進出という観点からも重要な法令を紹介しています。

現在、「外国会社条例」「事業登記条例」「投資家保護条例」「破産条例」等の法令を紹介しています。

今後は、香港における会社設立、税制に関する法令を紹介していきたいと考えております。

 

投資の際には事前の法令調査を

繰り返しになりますが、オフショア地域の事情はそれぞれ異なりますので、投資の検討をする際には、各地域の税制、法律制度を細かく調べてみる必要があります。チャネル諸島とマン島では制度が異なりますし、同じチャネル諸島でも、ガーンジー島とジャージー島とではやはり微妙な差があります。なけなしの財産を投資するのですから、知識はあるに越したことはありません。事前の研究は十分に行うべきです。

 

オフショア事情に精通してグローバル時代の勝ち組に!

これらの地域の制度について基本的なことを知っていれば、それだけでも悪質なコンサルタントに騙されたり、ナメられたりする可能性はずっと低くなるでしょう。あなたはもう騙しやすい「無知な客」ではなく、他の人が知っているはずもない専門知識をもった「手ごわい客」となっているからです。

このような客に対しては、コンサルタントも心してかからなければなりません。彼らも、あなたに対しては相当に勉強してから接するようになるはずです。

その結果として得られるものは、決して小さくはありません。

このホームページを通じて、ぜひとも正確な知識を身に付け、適確な判断材料を得て、グローバル時代の「勝ち組」に入って下さい。

MZビジネス翻訳センター

Copyrighted by e-law international USA Limited, 2001.

 

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* 当センターは、翻訳事務所であって、法律事務所、税理士事務所、会計事務所、投資コンサルタントではありません。従って、法務、税務等に関する問い合わせには応じられませんので、ご了承願います。

 

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