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ピケティ『21世紀の資本』と不動産投資

 

 

 トマ・ピケティ『21世紀の資本』が説く「格差」の問題、すなわち労働で得られる収入よりも資産からの収益の伸びが大きいという事実は、「資産」というものが本来もっている「リスク」と「複利」から説明できることだ。従って、目くじらを立てて糾弾されるようなことでもない。

 

 とはいえ、ピケティの議論からは、いくつかの気付きが得られることも確かである。そのひとつが「税制は永遠のものではない」という事実だ。

 

 例えば、ちょっと調べてみればわかることだが、今あるような「所得税」なるものは、ほんの百年ほど前までは、ほとんど存在していなかった。

 

学校の日本史で明治時代に「地租改正」があったと教わったと思うが、「地租」が租税の中心になるのも所得税がないことの裏返しである。ということは、明治政府の歳入は、ほとんど不動産課税で賄われていたことになる。

 

 ピケティによれば、各国政府は、不動産に対する課税の誘惑に常にさらされているという。理由は簡単で、不動産は決して外国に逃げたりしないからである。

 

 最近では、会社が法人税の低い国へと逃げていくのは珍しいことではなくなった。そのため、外国からの投資を呼び込もうと法人税の引き下げ競争が起きている。金融資産はさらに逃げ足が速いし、政府が国際的な人と資本の移動を制限するのは現実的には難しいだろう。

 

 だとすれば、もし政府が資産への課税をもくろんでいるとすれば、金融資産よりも不動産に目が向くのは当然のことである。

 

 

さらに超長期的な視野に立って、将来、貧困層の拡大によって所得税収が縮小すると仮定するなら、新たな「地租」の復活もあり得ない話ではないと言えるかも知れない。

 

 現在、不動産を所有しておられる方、また将来不動産を購入しようと考えておいでの方は、とりわけそれが投資目的であれば、このことを考慮に入れておいて損はない。

言うまでもなく、税制は投資収益に直接影響を及ぼす要因だからである。

 

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