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日本で外貨運用するデメリット

ところが、ここにも問題があります。

日本人は外貨の運用・取引でも著しい不利を蒙っているのです。

例えば、日本の金融機関で外貨運用する際の使い勝手の悪さには驚くしかありません。

日本円を外貨に、外貨を日本円に交換する際の為替手数料が割高であることは言うまでもありません。ですから、いったん円を外貨にすれば、またすぐに円に戻すのは馬鹿げているのは当然です。けれども、例えば海外旅行などで余った外貨現金などを証券会社に持っていって「これで外貨MMFを買いたい」と言ったら受け入れてもらえるでしょうか。「円からしか買えません」と言われるのがオチなのです。

では、銀行に持っていって「外貨預金したい」と言えばどうでしょう。「当行では外貨現金は取り扱っていません」と言われるか、受け入れられたとしても結局、為替手数料と同等かそれ以上の外貨現金取扱い手数料というのを取られてしまうのです。反対に、外貨預金や外貨MMFを円でなく外貨のままで引き出そうとしたり、送金したりするときも同様であり、不可能と言われるか、あるいは非常に面倒なことになります。

さらに、円預金と異なり、外貨預金には預金保険が適用されません。万一銀行が破綻すれば、その影響をもろに被ってしまうのが外貨預金なのです。

 

日本の外貨預金金利・・・プライベートバンクとの比較

その上、日本の金融機関では外貨預金などの金利も低く抑えられているようです。場合によっては、日本円の金利が極端に低いため、金利さえ付けていれば顧客は喜ぶと思われているのではないかと疑われるほどに低いこともあります。いずれにせよ、日本における外貨運用は、顧客のためというよりは、手数料を搾り取りたい金融機関にとって都合よく設計されていると言わざるを得ません。

次の表をご覧下さい。

 

[2] 主要通貨おける政策金利、外貨預金金利、外貨MMF実績分配率、プライベートバンク信託預金金利の比較(いずれも税引き前の値に基づき、比較のため各国政策金利を1として換算したもの。小数第3位以下は切り捨て。2007824日現在)

・外貨MMFはリスク商品(投資信託)であり元本割れの可能性があることに注意。

 

米ドル

ユーロ

カナダドル

豪ドル

NZドル

政策金利 = 1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

日本国内の外貨預金金利(A銀行)

0.65

(6ヶ月定期預金の金利)

0.68

(6ヶ月定期預金の金利)

0.46

(6ヶ月定期預金の金利)

0.68

(6ヶ月定期預金の金利)

0.77

(6ヶ月定期預金の金利)

外貨MMF (B証券)

0.88

(実績分配率)

0.85

(実績分配率)

0.82

(実績分配率)

0.87

(実績分配率)

0.93

(実績分配率)

スイス・プライベートバンク信託預金金利(Bank C)

0.90

(6ヶ月定期預金の金利)

0.96

(6ヶ月定期預金の金利)

0.91

(6ヶ月定期預金の金利)

0.92

(6ヶ月定期預金の金利)

0.96

(6ヶ月定期預金の金利)

 

(注。表中のプライベートバンクとは、19世紀、あるいはそれ以前からスイスを拠点として富裕な家族の資産を運用する専門銀行をいう。銀行としての規模は比較的小さく、大銀行がハイリスクの投資銀行業務や自己資金投資にのめり込んでいくのをよそに、顧客資産を代々保全することに徹し、伝統的・保守的な運用を続けている。)

 

この表にあるのは一般的な通貨ですので差は少ないほうですが、それでも日本の外貨預金の利率は、他の運用方法に比べると相当に見劣りすると言わざるを得ません。日本国内の運用では外貨MMFがかなり頑張っていますが、実は外貨MMFは外貨ベースでの元本割れもあり得るリスク商品です。ですから、リスクを考慮すれば外貨MMFが預金よりハイリターンであるのは不思議ではありません。

ところが、日本国内と海外(スイス)を比較すると、リスクのある外貨MMFで運用するよりもローリスクのプライベートバンクに預金する方が、リターンが高くなっているのです。

 

 

プライベートバンクの効率性

誤解しないでいただきたいのですが、これはプライベートバンクが「ローリスク・ハイリターン」を実現しているという意味ではないと思います。プライベートバンクの預金金利も各国の政策金利を超えていないことから知られるように、ローリスクに見合ったリターンの範囲内にあるのです。それが比較的高くなるのは、プライベートバンクの預け入れ単位が大きく少額の口座が存在しないなど、経営の効率性が高いからでしょう。その意味で、経済原則を超えるものでは決してありません(経済原則に反した高利率の預金金利を提示する「自称・金融機関」には近寄らないで下さい)

反対に日本での運用が何故うまくいかないかと言えば、同一の金融機関が1円で口座を開く客も1億円運用する顧客も分け隔てなく扱うという非効率な経営をしているからでしょう。メガバンクがいわゆる「プライベートバンキング・サービス」を提供する矛盾がここに現れています。(ただし、これは欧米でも事情は同じで、街中に大きな看板を掲げた大衆的な大手銀行にプライベートバンキング部門があるのは、それ自体が矛盾と言えます。ちなみに日本に進出している外資系銀行の多くは自国では大衆的な銀行に過ぎないのに、日本では高級イメージで売っているようです)。また、一時的な好成績をあげるよりも、「顧客が資産を子孫に残せるように」長期的な視野をもって運用するべきプライベートバンクが株式を公開し、その株価に一喜一憂しなければならないというのも、何かおかしいと思われないでしょうか。

 

外貨運用の王道

これに対して、スイスのプライベートバンクの運用が効率的であるのは、経営が閉鎖的であることに理由の一端があるのは確かです。スイスのプライベートバンクは誰にも門戸を開いているわけではなく、口座を開くにも、運用額を初めとしていくつかの条件をクリアする必要があります。けれども、もし受け入れられたとすれば、日本国内とは比較にならない効率的な運用を享受することができるでしょう。

このように外貨運用の分野ではプライベートバンクは王道であると言えるかもしれません。

けれども、仮にプライベートバンクに受け入れられなかったとしても、資産を守る方法はあるはずです。

この文章を読まれた方は、現状の本質を理解しているという意味で、すでに出発点に立っています。ですから、時間をかけて学べば、 きっとご自分に合った方法が見つかると思います(本サイトの記事や書籍を参考にしていただければ幸いです。ただし、高額な報酬を求める怪しげなアドバイザーや「自称プライベートバンカー」には気を付けていただきたいと思います)

 

おわりに・・・低金利通貨の運命

さて、ここで最初に論じた架空国家yの通貨Yの話に戻りましょう。金利も付かず、為替の調整もないこの通貨の購買力は、20年で他の通貨に対しておよそ3分の1になってしまうことはすでに見た通りです。

けれども、それで終わりではありません。その後もずっと金利も付かず、為替による調整もないとすれば、さらに20年の後には、何と当初の7分の1ほどになってしまうのです。そのとき通貨XZの購買力を100とすると、通貨Yの購買力はわずか14ほどにすぎません。y国の国民は、もはや立ち直れないほどに貧困化しているでしょう。

これが低金利通貨の運命です。

一方、日本円は低金利通貨であるとは言え、幸いなことに架空の通貨Yと異なり為替の調整があります。日本経済が外需依存体質である限りは円安基調が続く可能性が高いですが、為替の調整があるとは、何らかの要因により円高に振れることもあるということです。長期的な観点からすれば、そのような円高のときはむしろ外貨運用のチャンスと捉えるべきではないでしょうか。短期的な利ざやを稼ぐための外貨投資はお奨めとは言えませんが、子孫に財産を残すための「長期に強いポートフォリオ」には外貨建て資産は欠かせないと考えられます。

低金利通貨にすべてを賭けるのは、あまりにも危険が大きいからです。

 

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